東京高等裁判所 昭和45年(ネ)711号 判決
成程右甲第二号証(本件雇用契約書)には通常解任として、半期に収入する保険料が一定額に達しない者は解任する旨定められており、これはこの文言だけからみれば単に通常解任の要件を定めたものであって、半期というのも解任する場合の条件の成就する期間にすぎないと解せられないではなく、従って半期すなわち六ケ月毎にその間一定の成績をあげないことを一の解除条件として期間の定めのない雇用契約が行われたもののように見えないことはない。しかし右契約書の立言の良否はともかくとして、原審および当審証人山家猛の証言並びに本件口頭弁論の全趣旨によれば、それはそのような趣旨ではなく、営業所長の嘱託期間が半期すなわち六ケ月間であることを前提として、その期間内に収入する保険料が一定額に達しない者は解任し、その額に達した者は嘱託期間を更新することを定めたものであることが認められ、このことは右甲第二号証の条項の明文にも必らずしも反するものではないので、前示のとおり解するのが相当である。
けだし身元保証契約は事の性質上本人たる被用者の雇用期間を越えて存続する理由はないから、当初の本件身元保証契約自体には期間の定めはなされていないけれども、「身元保証ニ関スル法律」第一条により当然三年となるものではなく、被用者の雇用期間に相応する六ケ月となるわけであって、右雇用契約が六ケ月毎に更新されるとその更新の都度格別の意思表示を要せずその身元保証契約期間もまた六ケ月毎に更新することとなるけれども、かくては被用者の雇用が右更新を続け、通じて五年以上に及ぶときは、保証期間もまた五年以上となることとなるので、そうなると実質上は前記法律の趣旨にそわないおそれがあるところから、同法の制限に従い、これを通じて五年間に限って有効とする旨あらかじめ特約したものと解すべきであるからである。
(浅沼 岡本 田畑)